上洛

京に焼香に向かった。
目的は、昨年１０月２６日に我々が立ち会うことになった変事の始末。

左京区若宮通りの圓徳寺が、故ハッピーヒロシの実家と伺っていた。
弟さんが、お寺を継がれと生前話があった。



ハッピーヒロシ氏からも、音楽のみに関心を持ち、この蔵の中で、
友である音楽と、暮らしていたと聞いていた。
自分は音楽の道を選んで、弟に住職を押しつけて寺を出たそうな。


我々は警察の捜査終了後、身元確認を指示された。
捜査官に、突っ伏していた遺体を起こして貰い、顔を確認。
遺体は合掌していた。
捜査官が「変わった姿勢だな」と呟くのを耳にした。
私は、この姿の彼は正に『坊さん』なのだと感じた。


昨年８月１８日の私の「古稀を祝う会」では、超多忙にもかかわらず、
ライブに力添えをして頂き、また、ピアノの演奏で、
私を祝ってくれた。
彼の最後のステージになってしまったのは、残念だが・・・
このときの彼を、若尾久志が捉えていた。
上洛の折、「ご遺族の方に、」と、若尾が写真を用意してくれた。
ご住職夫妻は、この写真を本当に喜んで下さって、
「兄貴が帰って来たんやなー」と呟いておったよ。


焼香の後、
「故人は、音楽を通して説法をしていたかもしれませんね。」と、
私の連れが言葉を結んだ。


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