匂いがおかず その2

創立者より

早速私の曖昧な記憶に手助けが届いた。
「落語のマクラでよく使われる小咄ですョ。」
《ケチと鰻屋》
ケチな男が、うなぎ屋の近くに引っ越して来た。
夜は、蒲焼の匂いでご飯を食べる。
「クンクン、ああ旨い!」
と、月末にうなぎ屋が来て、
「すみません、うなぎ代を頂戴にきました」
「俺は、うなぎなんか頼んでないぞ!」
「しかし、あなたは、店から出る匂いでご飯を食べているそうで」
「わかった」
と、チャリン、チャリンとお金の音をたて、
「俺は、匂いだけかいでいるんだ。そっちは、音だけ聞いて帰んな!」
空きっ腹には間違いなくひびき生々しい小咄だ。
おかずにした本、『いとしいたべもの』にはお代を納めてあるのが何よりだ。
著者森下典子さんの文と絵で記載されている21品目を一つずつ確かめ楽しんでいる。
これも著者の筆力が我が五感をくすぐっての結果だろう。
愛読している食い物ブログがある。
その一つがひたすら食う立場の男の表現。
生活圏が著者と重なるのであの店、この店あの料理かと
推理の楽しみも重なるブログだ。
http://blogs.yahoo.co.jp/kentauros_wakao
作る人のブログを一つ。
此方は購読の礼はお店に伺うって事なのは承知なのだが
最近はブログで楽しんでいるだけ、如何なあ〜
http://web.mac.com/menboutei/master/blog/blog.html
今一つの案内。
ブログが存在しなかった時代もある。
メールでの案内が送られて来た。
写真も無し。
素材とメニューだけの簡素な案内が発信されていた。
簡潔ゆえに食欲を誘うメールだった。
その店にも
足が遠のいて久しい。
この2軒だけではない、
いわゆる外食の機会が
減っている。
懐具合だけではない、年頃なのかも知れない。
体調の変化や行動範囲の
わずかな変化も影響するのだろう。